先週の乗鞍、帰った後の心地よい疲れでよく眠れたことに味をしめ、今週も休日は山へ。
起きた時間によって行く山を変えようとしていたのだけど、結局5時に起きたので、セカンド・ベストだった雨飾山へ行くことに。アプローチに車で1時間半かかるけど、歩行時間はコースタイムどおりで7時間ちょっと。8時に歩き始められれば途中どんなに景色のよさに休憩する時間をとったとしても16時には下山できる。

雨飾山は長野県小谷村と新潟県糸魚川市の境にある、独特の美しい山容をもつ独立峰。北アルプスとは姫川の谷(中央構造線)を挟んで反対側になり、山域としては妙高、戸隠あたりと一緒に語られる位置にある。標高は1963.2メートル。日本百名山にも選ばれている、花の美しい名峰。
毎年行ってみたい山としてリストアップするのに、今まで一度も行ったことがなかった。今年こそはと狙っていたら、こんなタイミングでチャンスが訪れた。
しかし、先週の乗鞍といい、今週の雨飾といい、2週続けて百名山に日帰りで登れるなんて、やっぱり地の利だ。安曇野に暮らせてよかったと心から思う場面のひとつ。
ということで、予定通り7時45分に小谷温泉の奥、雨飾高原キャンプ場へ。ここが雨飾山の小谷温泉側の登山口になる。



登山届を書いて、8時ちょうどに出発。最初は静かなブナ林の中を行く比較的楽勝な部類の体力度でタカをくくっていたのだけど、歩行開始から1時間ちょっと、荒菅沢という、雪どけ水のおいしい沢を渡った先から一気に急登になる。足元が非常に滑りやすい土質で、ところどころに張られているロープや梯子の力を借りないと滑落の危険がある緊張感もあり、標高1600メートル地点あたりからは本当に苦しい登りだった。寝不足で心肺機能は非常に悪く、5分歩いては3分休憩という雪山の登攀のような歩き方になってしまい、そこまでつくってきた貯金を使い果たして、稜線に上がったときにはコースタイム以上に時間がかかっていたほどだった。
でも、直接日本海からの季節風が吹きつける位置にある山ということで、北アルプスよりも低い森林限界を越えると、そこは高山植物の楽園。夏の花がこれでもかという具合に咲き誇っている。それを見ただけで、苦労して登ってきた甲斐があったと素直に思える、そんな山旅。



しかし、朝は晴れていたのに、僕が稜線にたどり着く頃にはすっかりガスってきてしまった。本来なら日本海から北アルプス、妙高の山々を見晴るかす大展望も自慢の山なのに、周囲はすっかり霧の中。まだ自分の進む先が見えるだけよかったけど。
山頂には先客が2組、お昼ごはんを食べていた。この山は北峰と南峰からなる双耳峰なので、僕は三角点がないかわりにお地蔵様が奉られている南峰に戻ってのんびり1時間近く過ごす。もちろんこちらは僕一人。いろいろ思索をめぐらすことができる。蝶や見たこともないような柄のカミキリムシなどが僕の体を止まり木だと思ってやってきたりする。ときには蜂も飛んできたりするのは2000メートルクラスの山ならではのことだけど。
でも、その間、日本海が見えるのを待ってみたけれど、晴れることは残念ながらなかった。まぁ、バテバテの僕だったので、無事に登頂できたことだけでも感謝しよう。




下山は登ってきた道をそのまま下る。つまり、恐ろしい急登の逆で急降下が必要ということ。歩行姿勢矯正のために、今日はあえてストックを持ってこなかったことを悔やんだけど、仕方がない。今持っている装備と技術、そして要所要所にあるロープと梯子にすべてをゆだねるしかない。
幸い、ザックに忍ばせてある細引き(ロープ)を使う機会がなく済んだのは助かったけど。
荒菅沢に戻ってきたときは本当にホッとした。余裕があれば雪どけ水で珈琲を淹れたかったのだけど、さすがにそんな余裕はなく、たぶん3〜4リッターは軽く汗をかいて失われた水分を、冷たい水で補給するのがやっとという感じ。
先週から実験的にチューブでの水分補給をしてきたけど、朝から2.5リッターは飲んだほどだったので、再び水パックを満たして下山の途に。


途中何度か滑落しかけたりしながら、やっとの思いで15時半に下山。そのまま小谷温泉雨飾荘の無料露天風呂へ行って汗を流す。が、お湯が熱くて5分と入っていられず、筋肉をほぐすには物足りなかったので、白馬八方温泉「第一郷の湯」にも寄ってしまった。
雨飾、ナメてかかってごめんなさい。標高は低いけど、使う体力はアルプス以上。でもまた、体調のいいときを狙って、今度は別のコースから登ってみよう。バテても翌日からの筋肉痛がひどくても、また何度でも登ってみたい山だ。